地域との出会い - AJALTの養成講座の歴史
三十年前の地域との出会いから
1970年代の終わり、外国人の受け入れと文化・国際交流をビジョンとする地方都市の民間団体から、一本の電話をいただきました。日本語ボランティアの養成の依頼です。地域の日本語支援と言えば、留学生対象以外の活動がほとんどなかった当時、それは画期的な事業でした。「支援者に必要な基礎知識と技能とは」「地域の現場のニーズに合った教え方とは」「講座の成果を受講者の将来の活動につなげるには」と一つひとつ課題を吟味して、1981年に養成講座を企画・実施しました。
多様な日本語教育への取り組みを生かして
その後、80年代から90年代、さらに現在まで、難民、中国帰国者、農村の花嫁、技術研修生・技能実習生、日本の学校に編入学する子供たち等、外国人受け入れの増加と多様化、定住化が顕著になりました。AJALTも難民、技術研修生・技能実習生、年少者等、多様な日本語教育に携わるようになり、カリキュラム開発、教材作成等、生活場面や就労現場に合わせて、常に新たな学習者のニーズに応えていくために、思い切ったチャレンジ、発想の転換を重ねてまいりました。その多様な取り組みを背景に、各地からのボランティア養成講座の相談、依頼にお応えしてきました。
地域の現場との交流を続けて
21世紀になると、各地の日本語ボランティアの増加とともに、教室の企画・運営や法律、医療等他分野との連携に携わるコーディネータの機能が重視されはじめ、AJALTも文化庁委嘱の日本語コーディネータ・ボランティア・人材育成研修への協力を通じて、都道府県、市町村の現場との交流をさらに深めてきました。よりよい支援への提言のための調査研究、また、AJALT会員教師自らが地域の日本語ボランティア教室で支援活動を行い、教材を作成するなど、さまざまな形で現場に通っています。地域日本語教育相談や各地の情報交換のためのメールマガジン「こだま」の発行も続けています。
日本の将来に向けて
今日、全国に在住する外国人は約213万人にのぼります(平成22年末現在法務省統計)。日本で暮らし、働き、学ぶ外国人が、地域の住民として共に生きること、そういう方々に隣人として日本語支援をしていくことが、より一層求められる時代となりました。地域在住外国人の日本語学習とその支援環境・人材整備が公的に保障される兆しもあり、AJALTではさらなる新たなニーズを視野に入れて、今後もみなさまのご要望に応え続けていきたいと考えています。
今日まで延べ600カ所以上で、さまざまな講座を実施しております。